夜桜の底でうろつく獣の姿を見ただろうか。

【本文の前にお知らせ】
お久しぶりです。
いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

普段はTwitterを中心に活動しているのですが
SNSからの誘導はブログよりも、noteのほうが読んでもらいやすい予感がします。

というわけで最近は
noteにこのブログの過去記事を再編集して掲載しているのです。

今後、両立するか引っ越すか悩み中でございます。
このブログでも新記事に加えて
しばらく再編集版も投稿しますがお付き合いください。

note
https://note.com/hirusugiokita

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月夜の晩。
一般人が夜桜を楽しむ傍らで、虚空を掴むように網を振り回している変人を見たことがあるだろうか。
電灯の下や木の陰、葉裏を覗き込み、地面を這い回る彼らの目には桜など写っていない。

花より団子。否、団子よりも大事なものが彼らの胸を熱くたぎらせる。

春。

ときに皆さまはこの言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

桜。団子。

菜の花、フキノトウ、タケノコ。

イチゴ、新玉、花粉。

出会い、それとも別れ。

いやいやいや……

やっぱり蛾でしょ!!!!!

190325イボタガ

春の三大蛾の一角。

イボタガです!!!

説明しよう!
「春の三大蛾」とは……
イボタガ、エゾヨツメ、オオシモフリスズメで構成される春の大型蛾のことだ!春の夜、ふらふらと山のなかを彷徨っている人たちは大抵この蛾を探している。

ちょっと奥さん、見て下さいよ。
この力強い奇抜な翅模様ッ!
ウサギ耳のような触角ッッ!!
そしてこのモフモフなボデェィ~ッッッ!!!
何度も撫でさせてもらいました。柔らかくてふわふわで最高です。

そしてこの奇妙な模様。何かに見えませんか?

そう…猫です!
(※フクロウ擬態説の方が強いですが個人的には猫を推しています)

────擬態。
自然はいつだって弱肉強食。
食物連鎖で低い位置に存する蛾が自らの身を守る方法として、
捕食者上位に立つ猫に扮して外的から身を守っているわけです。


220329[ガ]イボタガ


さてゆっくりと撮影を楽しんでいたわけですがこちらのイボタガさん、
種の特徴なのか、この個体の性格なのか、
非常に気性が荒く近づいたり手に乗せるとすぐに翅を立てて怒るのです。

これが結構な迫力。
人間よりも圧倒的に小さく軽い命ですが、その迫力は思わず仰け反るほど。

必死に生きようとする姿を見せられ罪悪感が…、
少し撮り足りないですが自然へ帰しました。
素敵な時間をありがとう。

220329[ガ]イボタガの幼虫

220329[ガ]イボタガの幼虫_2


こちらはイボタガの幼虫

有史以前は悪魔の使いとして恐れられていた、と言われても信じてしまいそうなビジュアルです。

角は触ると硬い。


いや~、あのね、イボタガは常日頃から憧れ続けている虫なのですが、
こちらのイボタガ、成虫と幼虫、どちらも全く期待していないときに出会ったんですよ。
あー、なんかいないかなぁー。くらいの感覚。
やはり自然様には人間の邪な気持ちが分かるのでしょうね。

これからは種に固執せず、純粋に自然を楽しむ心でフィールドへ向かいたいと思います。

それはそうとして、今年の春はほかの三大蛾、エゾヨツメ、オオシモフリスズメにも会いたいなぁ。
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逃亡!絶望!葬らん!

ぜッ・・・ハッ…ハァ……ハァッ……ぜっ、、、

研ぎ澄まされた冬の空気を切るように俺は走った。

眠れる太陽。沈む空。

脚が重い。視界がかすむ。

肺を引きずるように腕を振る。

目的などない。
ただ走る。逃げるように。ひた走るしかないのだ。

……頬の冷たさで我に返る。

気付けば田んぼの畦道につっ伏していた。

つまずき転げたのだろう。

一体いつから俺の人生は地面の匂いになったのだろうか。

・・・

話は日の暮れたばかりにまで遡る。
仕事をサボって出かけた撮影。
納得の写真に上機嫌で帰宅した俺は冷蔵庫を開け手を伸ばす。

缶ビールである。

切り裂くような冷たさが指を伝う。間髪入れずプルタブを弾く。
プシュッ…ビールが一言。さながら一日のファンファーレ。
そう、俺の一日はこれから始まるのだ。

すっかり酔いの回った俺は冷蔵庫に佇むある一点に目が留まる。

プリンである。

言葉はいらない。
飾らずともプリンは最強なのである。
幸福とはプリンそのものなのである。

無論、幸せとは永遠ではない。
「幸」から一つを失うと途端に"それ"は「辛」となるのだ。
空の容器を見つめていると視線を感じた。
容器と目が合うわけもなく"それ"は確かに背後から。確かに感じる。振り返る。

嫁である。

愛する我が子を背負う嫁である。
雷雨のごとく泣きじゃくる我が子をあやす母である。
当然、母の機嫌も大荒れ。台風。はりけーん。
幸せとは永遠ではない。

「それ。」

それ……?

「プリン」

あぁ……

「わたしの」

あー、ね。

「うん」

嫁の右手にはバットが握られていた。
ぎゃああーーーー!幼子の鳴き声が肌を突き刺す。

振りかぶったバットの先を見るまでもなく、俺は家を飛び出した。

・・・

気付けば田んぼの畦道につっ伏していた。

このまま独りで土になろう。

(きみは、ひとりじゃない…)

聞こえた。絶望のさなか、はっきり聞こえた。

目を凝らすと目の前に一匹。

……いや、二匹。


220308[バッタ]オンブバッタ


──オンブバッタ
バッタ(直翅)目・オンブバッタ科に分類されるバッタの一種。
オスは2.5cm、メスは4cmほど。
春から晩秋までみられる。
メスの上にオスが乗っている姿は有名である。


おまえらってケンカしないのか?
イヤにならないのか?

返事はない。
しかしオスの、メスの背を掴んで離さない健気さ。
堂々たるメスの安心感。
二人三脚。いや、六脚。

返事はなくとも見ればわかる。


……帰るか。



ぽつぽつと明かりの消えた町を背に、チャイムを押した。

ただいま。

「なに」「帰ってきたの?」

子を背負った嫁が静かに問う。

さっきは悪かったよ。プリン勝手に食べちゃって。ほら、これで仲直り。

袋を見せると嫁は照れくさそうに微笑んだ。

「え……ありがと。」

おう。

「ちょうどこの子も寝てくれて。一緒に食べましょ」

背の子から、夢を見ているのか、グフッと笑い声が飛び出した。
見合った俺たちからも笑みがこぼれる。

はい。どうぞ。

嫁に手渡す。

手に握られたのはオンブバッタ。

オンブ。バッター。

嫁の右手にはバットが握られていた。

9回裏。バッター。嫁。

バットを構えて……


(フィクションです。嫁がいなければ子供もいません。今の時期はオンブバッタもいません。なにもいません。)

プロフィール

昼杉起太

・昼杉起太
虫撮る人。

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